足の神様・仏様

日本全国の足の神様漫遊記

あらはばき神社【宮城県多賀城市】

◆荒脛巾神社への道のり
  今回は、宮城県多賀城市にある荒脛巾(あらはばき)神社の参拝に向いました。この神社は、JR東北本線国府多賀城駅からタクシーで5分ほどのところにあります。実は、この神社の参拝を試みるのは2回目です。出張先での参拝なので、朝、早い時間に起きて、仕事が始まるまでに参拝させて頂くのがいつものパターンです。前回は、昨年、やはり、朝、早く起きて、仙台から国府多賀城駅に行ったのですが、駅前にタクシーが停車しておらず、歩いて行くほどの時間の余裕もなく、タクシー会社も多賀城市にはなく、隣の市にしかなかったので、参拝を止むなく断念しました。イメージ 1
  今回は、隣町にある塩釜タクシーさんに事前予約をして、周到な準備で臨みました。タクシーの運転手さんに行き先を告げて連れていって頂いたのが、多賀神社という社号標のある小さな祠でした。違う場所に案内されたと思ったので、「荒脛巾神社というのは、ここの他にないんですか?」と確認したところ、他にはないということだったので、その祠にお参りをさせて頂きました。この祠もわらじが奉納されていたので、足に関わる神様が祀られているようでした。その後、国府多賀城駅に戻り、タクシーを降りてからも、再確認のため駅の観光案内板を見て確かめてみました。やはり、「違う場所を案内された!」と気づきましたが、今からタクシーを呼び直している時間もないし、2度目の挑戦でも参拝できないというのは、「タクシーの運転手さんに行き先を告げればわかるという安易な思い込みと、何といっても参拝をさせていただくという心が出来あがっていなかったからに違いない」という思いに至り、「心を入れ替え、日を改めて出直そう」と思いました。覚悟を決めて、電車で仙台駅に戻ろうとした時、先ほどのタクシーが戻ってきて、運転手さんが、窓を開け、「すみません!先ほど案内したところは、別のところだったかも知れません。確か、道ばたに「あらはばき」という石碑が有るところがあったのを思い出しましたから、そこだと思います。メーターは回しませんから乗って下さい」と声をかけて頂きました。
  そのまま帰ってしまっても良かったところを、わざわざ引き返して来て頂いた親切な運転手さんのお蔭で、なんとか荒脛巾神社に参拝することができました。運転手さんの人柄なのか、東北人の気質なのか、行き先を間違って案内された時も不思議と腹が立ちませんでした。このようなハプニングが却って心の機微に触れる体験をさせて頂くことことになったのかなと思い、感慨深い気持ちで神社参拝ができました。
 
◆足の神様とは
  アラハバキ神を祀る社は、中部地区以東にあり、特に北関東と東北地方に多く見られます。どのような神様だったのかは、謎に包まれており、古事記日本書紀には、一切の記載がありません。大きな神社の末社として祀られていることが多く、中には、アラハバキ神という名称さえも伝承のみで、実際に祀られているのは、大国主命であったり、足名椎命や手名椎命などの出雲系の神様であるという祠も少なくありません。埼玉県大宮市の氷川神社では摂社として門客人神社という社がありますが、ここに祀られているのは脚摩乳命(足名椎命)、手摩乳命(手名椎命)ですが、古くはアラハバキ神として崇められていたそうです。アラハバキ神は、客人神社に祭られていることも多く、西日本に多く見られる客人神社や門客神社と何らかの関係が有るのではないかとも言われています。
  アラハバキを漢字で表わすと「荒脛巾」と書き、「脛巾」はふくらはぎを意味します。アラハバキとは、「強靭なふくらはぎ」とも解釈できることから、古くから足の神様として崇められてきました。どのような神様だったのかということについては、諸説があり定説がありません。東北地方に多いことから、大和朝廷以前に東北地方に定住していた原住民(縄文人)が崇めていた神様という説があったり、出雲系の神様と一緒に祀られていることが多いことから、大国主命の国譲りについて承服できない出雲の人々が東へと移動する際に信仰していた神様ではないかなどの説があります。(他にもいろいろな説があるようです)。どの説が正しいのかはわかりせんが、東北地方は山が多く、山谷の起伏が激しい地域です。東北地方の神様にせよ、出雲から移動されてきた神様にせよ、並はずれた脚力と精神力を持っておられた神様だったのではないかと思います。
 
◆鎮座地
  宮城県多賀城市市川奏社
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◆参考資料
  神社探訪狛犬見聞録・注連縄の豆知識
 
  ひーさんの散歩道